「組織風土改革」はやってはいけない!?
- Centerboard 石原正博
- 2016年4月29日
- 読了時間: 3分
更新日:2 日前
──このままでは会社は衰退する、組織風土を変えなければ
最近、多くの企業で「組織風土改革」が盛んに行われています。
「社員が指示待ちで動かない」
「部署同士が連携しない」
「コミュニケーションが足りない」
こうした“組織の体質”や“社員の意識の低さ”が、業績や経営計画に悪影響を及ぼしているという危機感から、さまざまな改革が進められているのです。
よくある組織風土改革の中身とは?
たとえば、以下のような取り組みがよく見られます。
社員の主体性を高めるための研修や自己啓発セミナー
管理職向けのコーチング研修
部門間の連携を促す横断型プロジェクトや対話の場の設置
一見、どれも「変化を促すための前向きなアクション」に見えます。
そして実際、短期的には効果が出たように感じられることもあります。
しかし──
ほとんどの企業では、数ヶ月後には元に戻ってしまうのです。
なぜ、改革しても現場が変わらないのか?
その理由は意外とシンプルです。
実際に現場の社員や部門の声を聞くと、
「自分は主体性がない」と思っている人はほとんどいません。
むしろ、「自分の仕事はちゃんとやっている」と思っています。
話を聞いてみると、業務内容もまっとうで、手を抜いている様子もない。
つまり、「意識が低いから動かない」のではないのです。
では、なぜ“動かない”ように見えるのか?
問題の本質は「ズレ」にある
それは、「優先すべき目標や課題がズレている」からです。
経営:「この課題に全社で取り組んでほしい」
現場:「私は自分の担当業務をちゃんとやっています」
どちらも間違っていません。
でも、向いている方向が違っているのです。
経営が「主体性がない」と感じるのは、
「期待している動きと、現実の行動がズレている」から。
一方、社員は「ちゃんとやってるのに、なぜそんなことを言われるのか」と思っています。
この“すれ違い”こそが、組織が停滞する最大の原因です。
組織風土ではなく、「戦略の共有」に目を向けるべき
つまり、問題は社員のやる気や意識の低さではなく、
「今、何を優先して取り組むべきか」という戦略と現場のズレにあります。
どれだけ研修をしても、対話の場を設けても、
このズレが修正されなければ、現場は変わりません。
必要なのは「組織風土改革」ではなく、
戦略と業務をつなげるための“共通認識の形成”なのです。
組織が本当に変わるために必要なこと
社員が動かないのではなく、動く“方向”が共有されていないだけ。
その認識を持たずに風土改革だけを繰り返しても、根本解決にはなりません。
組織を本気で変えたいなら、
まずは「今、会社として何に取り組むべきか」を、全社で一致させること。
経営の意図と現場の行動を一致させるには、
戦略の“カスケードダウン”──つまり、戦略を分解し、部門・現場レベルにまで落とし込むプロセスが不可欠です。
それがあって初めて、社員は「自分の役割」が見え、
主体的に“正しい方向”へと動き出すのです。

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