「上位2割が動けばいい」は、衰退企業の合言葉。──社員が動かない本当の理由とは
- Centerboard 石原正博
- 4 時間前
- 読了時間: 3分

「うちの社員は自分で考えて動こうとしない。結局、動けるのは上位2割。あとは期待しない方がいい」
──経営者のあなたが、もしこんな言葉を口にしているなら、注意が必要です。
それは“衰退企業の合言葉”です。
社員が動かないのではなく、会社として“動ける仕組み”を作れていないだけかもしれません。社員の責任にする前に、問い直すべきなのは「経営として、何をどう伝えてきたか?」ということです。
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なぜ、社員は動かないのか?──その前に聞くべきこと
経営者が「なぜ社員は動かないのか」と嘆くとき、こんな仮説があるのではないでしょうか。
社員はやる気がない
危機感がない
指示待ちでしか動かない
能力が足りない
どうせ言っても分からない
だから、「上位2割が動いてくれればそれでいい」と。
でも──その“動かない8割”に、実際に理由を聞いたことはありますか?
現場で働く社員のリアルな声は、まったく違います。
社員の本音は、驚くほどシンプル
「経営は何をしたいのか、よく分からない」
「うちの社長には戦略がないように見える」
「保身ばかりで、方向性が定まらない」
「自分は一生懸命やってるのに、評価されない」
「がんばるほど損するように感じる」
つまり、社員が“動いていない”のではなく、「どこへ向かって動けばいいのか分からない」状態に置かれているのです。しかも、彼らは彼らなりに、目の前の仕事には真面目に取り組んでいる。ただし、それが経営の期待する「動き」と一致していないだけの話です。
社員が「動かない」のではなく、「つながっていない」
人は、自分の仕事がどこにつながっているのかが見えなければ、本気で動けません。
経営の描く“未来”と、現場の“今日の仕事”がつながっていない。
評価軸も伝わらず、「何をがんばれば報われるのか」も分からない。
──そんな状態で、社員に“主体性”や“当事者意識”を求めるのは、酷というものです。
そして、このギャップを埋めるために欠かせないのが、戦略のカスケードダウンという考え方です。
戦略の“カスケードダウン”が、動く組織をつくる
カスケードダウンとは何か?
簡単に言えば、経営戦略を組織の各階層に落とし込み、個人の業務レベルまで“意味づけ”をつなげていく仕組みです。
経営が描いた「ありたい姿」や「勝ち筋」を
事業戦略に翻訳し、
各部門・チームの役割と目標に落とし込み、
最終的には一人ひとりの業務やKPIとつなぐ
ここまで落とし込まれて、はじめて現場の社員はこう思えます。
「自分の仕事が、この会社の未来にちゃんと貢献しているんだ」
「自分ががんばる意味が、ようやく分かった」
この納得感こそが、“人を動かすエンジン”になります。
まとめ:「伝わらなければ、動かない」のが当たり前
もし、社員が動かないことで悩んでいるなら──
それは、経営として伝える努力を怠っているサインかもしれません。
「上位2割だけでいい」と切り捨てた先に、組織の未来はありません。
本当に会社を動かしたいなら、“8割”の社員が動きたくなる構造を作るしかないのです。
その鍵は、「戦略を言語化すること」でも、「ビジョンを掲げること」でもありません。
それを現場の仕事とつなげる。
社員の目線まで“意味”を届ける。
その仕組みをつくれた企業だけが、
“自ら動く社員”に囲まれた、強い組織へと変わっていくのです。
おまけ:経営者が自問すべき5つの問い
社員に、今の戦略を自分の言葉で説明してもらえますか?
各部署の目標と、経営戦略がどうつながっているか説明できますか?
評価と戦略が一致していますか?
指示が、ただの“作業”になっていませんか?
「自ら動きたくなる余白」を現場に与えていますか?
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