「経営戦略策定」にまつわる3つの誤解 ~戦略が浸透しない企業に共通する“思い込み”~
- Centerboard 石原正博
- 3 日前
- 読了時間: 3分

はじめに
「戦略をつくったのに、現場が動かない」「意図した変革が、なかなか起きない」――そんな悩みを抱える経営者やマネジメント層は少なくありません。
実はその背景には、戦略策定に対する“根深い誤解”が存在しています。この記事では、特に企業によく見られる3つの誤解にスポットを当て、それぞれに対する本質的な視点を解説します。
誤解①:「経営が明確で具体的な戦略を細部まで描かなければならない」
→ 解像度を高めるのは“現場”の役割。経営は方向と意図を示すだけでいい。
多くの経営陣が、「もっと具体的に描かないと現場が動かない」と考えがちです。しかし本来、経営の役割は「What(何を目指すか)」「Why(なぜそれが重要か)」という方向性と意図の共有です。
その上で、「How(どうやって実現するか)」を現場が主体的に考えることで、
実行への納得感が生まれ、
戦略が自分ごと化され、
変化対応力も向上します。
経営が細部まで描きすぎると、現場のスピードと主体性を奪ってしまうのです。
誤解②:「最初から完璧な戦略をつくる必要がある」
→ 戦略は“仮説”。まずは実行し、PDCAで精度を高めていく。
完璧な戦略を目指すあまり、計画段階に時間をかけすぎていませんか?
戦略は机上で完成するものではなく、あくまで“仮説”です。
重要なのは、早く実行に移し、検証し、修正すること。
つまり、
戦略を素早くカスケードダウンし、
実行→検証→修正のループを高速で回す
この「動かしながら育てる」設計こそ、戦略の本質です。
誤解③:「戦略の実行は上位2割の優秀な社員に任せておけばいい」
→ 全社員で共有・実行するからこそ、変革のスピードが加速する。
戦略を一部のエースやハイパフォーマー人材だけに託すと、
・その他の社員が「自分には関係ない」と感じてしまい、
・社内に温度差や分断が生まれ、
・結果的に変革のスピードが鈍化します。
さらに、限られた人材に過度な負荷が集中することで、オーバーワークやバーンアウト(燃え尽き)を引き起こし、むしろ組織全体のパフォーマンスが低下するリスクすらあるのです。
変革を成功させるには、全員で共有し、巻き込み、動かすことが不可欠。それにより、組織全体が一体となり、圧倒的なスピードと再現性を生むのです。
おわりに|戦略は「動かして進化させる」もの
これらの誤解が解けたとき、戦略は「つくって終わり」ではなく、“動かすことで進化する”組織のエンジンになります。戦略の浸透とは、「正しく伝えること」ではありません。「全員でつくり、動かし、進化させる営み」そのものです。あなたの組織では、戦略が“動く設計”になっていますか?ぜひ今一度、立ち止まって考えてみてください。
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