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  • Centerboard 石原正博

すべての社員に「全体最適の視点」を持たせる

念場を迎える日本企業

米国との金利差拡大を背景とした円安が急速に進む中、現在日本は、競争力の低下と経済の弱さによる国際社会からの低評価が鮮明となり、多くの日本企業にとっては競争力向上や持続的成長の実現が急務となっています。そして、企業の人材や組織においても当然の流れとして改革が求められるようになる訳ですが、ここでひとつ経営者や人事部は注意しなければならないことがあります。それは、これまで行われてきたような、組織改革、人材育成、モチベーションやコミュニケーションの改善、多様性や働き方改革などの取組みに、今後は現場の社員の貴重な時間と労力を使ってはいけないということです。

実際に平成のバブル崩壊以降、これらの取組みは毎年のように課題として取り上げられ、同じような取組みが何度も繰り返し行われてきました。しかし、現在の企業の現状を見れば分かる通り、人・組織が抱える課題の解決は一向に進んでおらず、生産性は改善しないまま「失われた30年」と言われるように企業の成長は止まったままの状態にあるのです。


なぜ人・組織に対する取組みは企業の成長に貢献できないのか?

これまでの人・組織に対する取組みというのは、一般的に言えば「人・組織を変革させ成長させることが企業の成長につながる」といったような組織論や人材育成論がベースとなっています。そして、多くの企業が、この理論を前提に「人と組織の変革を目指そう、そうすれば業績は向上するはずだ」と期待して取組みを始めるのです。しかし、現状の様にもしも取組みが上手く行っていないとすれば、まずは、そもそものベースとなっている「人・組織の成長が、企業の成長につながる」という組織論や人材育成論を一度立ち止まって疑う必要があるのです。そして、実際にこの前提を疑っていくと、例えば「社員の主体性が高まったからといって、営業成績が上がる訳ではない」や「組織が活性化したからと言って、利益率が改善するわけではない」など、実は「人・組織の成長」と「企業の成長」との間には何か明確な因果関係がある訳ではなく、ただ単に「人・組織が変化すればきっと業績にも良い影響があるだろう」という極めて曖昧な期待感だけがある、ということが分かってくるのです。そして、そのような曖昧な根拠に基づく取組みというのは再現性や実効性が極めて低く、いくら同じ取組み繰返しても、企業の成長は永遠に実現することはないことが見えてくるのです。


企業が人・組織の領域において本当にやるべきこと

では企業を成長させるためには一体何に取組めば良いのでしょうか?

この問いに簡潔に答えるとするなら、それは、現場で働く社員に「会社の成長に貢献しない仕事」を「会社の成長に貢献する仕事」に切り替えてもらうということになります。いかに優秀な人材を育成しても、いかに組織の活性化を促進させてとしても、最終的に日々の業務が成長につながるものへと切り替わっていかない限り、企業が成長していくことは決してないのです。そして、このように言葉にすればとても当たり前の事なのですが、実際に業績が低迷する企業では、開発や新規事業などの一部の部門を除いて、ほとんどの社員が利益や成長につながらない仕事に日々を費やし、膨大な時間と労力を無駄にしてしまっているのです。

では人と組織がこの成長につながる仕事へ転換を図るためには、どのような具体策を検討すれば良いのでしょうか?

この問い対し、今後重要なキーワードとなっていくのが「全体最適の視点」というものです。

「全体最適の視点」とは、組織で働く一人ひとりが高い視点から会社全体を見渡し、会社の成長のために今やるべきことは何か、あるいはやめるべきことは何かを考え、日常業務を無駄のない優先度の高い取組みに最適化する能力です。この「全体最適の視点」を全ての社員が持ち、既存の業務を自社の成長につながる業務へと最適化することで、企業は一気に生産性の高い組織に生まれ変わり、成長への道筋が開けていくのです。




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